引用文献と参考文献ってそもそもどう違うの?
WEBサイトの文献リストの書き方が今一つわからない。
卒論を書き始めて、戸惑うのが引用文献とか、参考文献とか、いろいろ先生がいってくるけど、何を意味してどのように書いたらいいのかさっぱりわからないということではないでしょうか。
教員にとっては日常生活用語でも、皆さんからしたら、?????と思うことも多々あるかと思います。
ここでは
- 引用文献・参考文献・参照文献の違い
- 引用文献の書き方
について詳しく解説します。
大学の教員で卒論指導を毎年行っています。国際誌・学会誌・大学紀要などに100本以上の論文を発表してきました。Language Learning, The Modern Language Journal, Systemなどの国際誌の査読者もやっています。
引用文献・参考文献・参照文献の違い
最初に、引用文献・参考文献・参照文献の違いについて解説します。
引用文献とは
引用文献は実際に論文で引用(間接引用・直接引用)した文献のことで、論文の最後にずらーとある文献リストのことです。
- 間接引用(論文に書かれている文章をそのまま書き写して引用する)
- 直接引用(論文に書かれている文章を要約して、自分の言葉で引用する)
間接引用・直接引用の詳しい解説は正しいコピペ(引用)の仕方を参考に。
引用文献の例です。
米田佐紀子(2008)「英語劇を通して日本人児童 に英語力を定着させる試み―コミュニケーション 能 力からみた発音・語彙・文型の定着を目指して―」 『北陸学院短期大学紀要』40 , 65-84
贄育子・三宅絢花(2014) 「母性看護学実習に対する女子学生の実習前のイメージ,実習中感じたこと,実習後の思い-テキストマイニングによる分析-」『ヒューマンケア研究学会誌』5, 21-28
参考文献・参照文献とは
では、参考文献・参照文献は何かというとこれは分野によって、かなり呼び名が異なり、また、定義が異なります。
通常は以下のように分けています。
- 引用文献とは、レポート、論文中に実際に引用した文献のみのリスト
- 参考文献・参照文献はその論文を作成するために参考とした文献で、参考にしたけど本文中では直接引用しなかったものも含む文献のリスト
ところが、分野によっては、引用文献自体を参考文献や参照文献と呼んでいる分野もあります。
詳しくは指導教官に聞きましょう。
レポート・卒論・論文の引用文献の書き方
ここでは論文の引用文献の書き方についてお話します。
こちらの動画でも引用文献の書き方を簡単に解説しています。
引用文献の書き方ですが、分野によって大きく異なり、同じ分野でも投稿するジャーナルによって異なりますので(特に、WEBページの場合)、どれが正解とはいえません。
ここでは一般的な引用文献の書き方を説明します。
自分がどの分野なのか、先生はどのような引用文献の書き方を推奨しているのか、確認しましょう。
論文の引用文献の書き方
著者の名前 (年代)「論文の名前」『論文が載っているジャーナルの名前』号数,ページ数
米田佐紀子(2008)「英語劇を通して日本人児童 に英語力を定着させる試み―コミュニケーション 能 力からみた発音・語彙・文型の定着を目指して―」 『北陸学院短期大学紀要』40 , 65-84
複数の著者の場合は・で区切る
贄育子・三宅絢花(2014) 「母性看護学実習に対する女子学生の実習前のイメージ,実習中感じたこと,実習後の思い-テキストマイニングによる分析-」『ヒューマンケア研究学会誌』5, 21-28
宋美蘭・水野君平・侯月江・濤岡優・加藤弘通(2019) 「札幌市の子どもたちにおける『外国語』及び『総合的な学習』に関する実態分析」『子ども発達臨床研究』13, 11-22
書籍の引用文献の書き方
次に、書籍の引用文献の書き方を説明します。
基本はこちらです。
著者の名前(年代)『書籍名』出版社の場所:出版社
寺内一(2005)『ビジネス系大学の英語教育イノベーション―ESP の視点から』東京:白桃書房
また、学術書籍の場合、各章が1つの論文で構成されていたり、また、章ごとに著者が異なる場合があります。
そのような場合は、このような書き方になります。
章を書いている著者名「章の題名」本全体の編者名『書籍名』出版社の場所:出版社,pp 章のページ数
カレイラ松崎順子(2012)「韓国における貧困と英語力の関係:EBS の挑戦」松原好次・山本忠行 編著『言語と貧困-負の連鎖の中で生きる世界の言語的マイノリティ-』東京:明石書店,pp.158 ~ 171
複数の著者の場合は「・」で区切るなど上記の「論文の引用文献の書き方」と同様です。
出版社の場所を省略する場合もあります。
細かい書き方(ピリオドのありなし・コンマのありなしなど)は、投稿する論文によってその都度変わるので、それに合わせていきます。
よくあるのは、論文からコピペしたままにして、バラバラの形式のまま引用文献のリストを作っている人がいます。
一つの論文では、必ず統一した形式で書いてください。
ネット(Web ページ)の引用文献の書き方
ネット(Web ページ)の場合、いろいろな書き方があり、一概にどのようにとは簡単に言えないのですが、一般的な書き方をご紹介します。
最初に著者名です。
新聞の記事などを引用する場合は、最後に著者名が書いてあることが多いので、その著者の名前を書きましょう。
複数の著者の場合は「・」で区切るなど上記の「論文の引用文献の書き方」と同様です。
ただ、WEBの場合は著者名がわからないことも多いので、そういった場合、書いている機関名(文部科学省・国土交通省観光庁など)を最初に持ってきます。
つぎに、文部科学省(2016)のように年代を書きます。
年代は、書かれた・発表された・更新された年代がホームページ上のどこかに(上部が多い)示されていることが多いですので、それを書いてください。
ただ、年代不明の場合もあるので、その場合はn.d.(no dateの略語である)をつけます。
そしてホームページのタイトル(題名)を書きます。
最後に、urlのアドレスとそれを見た日付を入れてください。
今まで論文で書いたいくつかの例をご紹介します。
私自身も投稿する先によって、その都度変えています。
特に、先生や大学から指定がなければどれを使ってもいいのですが、一つ選んだら論文内では一貫してそのパターンで通しましょう。
国土交通省観光庁(2015)『訪日外国人消費動向―訪日外国人消費動向調査結果及び分析平成 27 年7-9 月期報告書―』http://www.mlit.go.jp/common/001107026.pdf(2016 年 6 月 1 日)
教育科学技術部(2010)『2009 年私教育費調査結果分析私教育対策チーム』入手先 〈hateduk.tistory.com/…/cfile6.uf@135751474D59D600294E1F.hwp, 2013 年 10 月 1 日検索〉
引用文献の順番
レポート・卒論・論文における引用文献の順番には3つパターンがあります。
ただし、引用文献の書き方は分野により大きく異なりますので、先生の指示に従ってください。
あいうえお順に並べる
ちなみに、引用文献は、著者の苗字のあいうえお順に並べましょう。
- 伊東治己・高津和幸・長安憲一・廣地美佳・福嶋雅直(1994)「コミュニケーションの観点からの中学校用英語教科書の分析」『奈良教育大学教育研究所紀要』30, 57-68
- 根岸雅史(1990)「英語教科書の談話分析」『東京外国語大学論集」40, 43-54
アルファベット順に並べる
ただし、英語と日本語が入っているときはアルファベット順に並べることもあります。
- 伊東治己・高津和幸・長安憲一・廣地美佳・福嶋雅直(1994)「コミュニケーションの観点からの中学校用英語教科書の分析」『奈良教育大学教育研究所紀要』30, 57-68
- McCarthy, M. (1991). Discourse analysis for language teachers. New York: Cambridge University Press.
- 根岸雅史(1990)「英語教科書の談話分析」『東京外国語大学論集」40, 43-54
日本語と英語を分けて書く
その他、日本語と英語を分けて書くこともあります。
最初に日本語をあいうえお順に並べる。
- 伊東治己・高津和幸・長安憲一・廣地美佳・福嶋雅直(1994)「コミュニケーションの観点からの中学 校用英語教科書の分析」『奈良教育大学教育研究所紀要』30, 57-68
- 根岸雅史(1990)「英語教科書の談話分析」『東京外国語大学論集」40, 43-54
次に、英語の論文をアルファベット順に並べる。
- Byun, J.2013. “A survey of parents’ recognition of a university English library for children,” The Journal of English Language and Literature,Vol.18, No.1: 235-260.
- Chang, K; Lee, B; Kwon, H.2010. “A study on the school English library. English,” Language & Literature Teaching, Vol.16, No.3: 317-337.
1つの文献が2行以上になるときは2行目は字を下げる
一つの引用文献が2行以上になる場合は、2行目以降は2文字分、字を下げます。
論文の情報はその都度コピーして一覧に
引用文献は最後に書かなければなりません。
これが結構面倒くさくて、きちんと整理しておかないと後から、何がなんだかわからなくなり、引用文献を書くのに莫大な時間を費やすことになります。
通常はCiNii(サイニィ)・Google Scholarなどから論文を引用してくると思いますので、その時に、論文のタイトル・著者名・雑誌名・出版年数・ページ数などの情報をそのままコピーして論文の下のほうに貼り付けておきましょう。
CiNii(サイニィ)・Google Scholarの詳しい調べ方については卒論の文献の探し方を参考に。
まとめ
引用文献の書き方を説明してきました。
これらは分野・先生により異なりますので、最終的には先生の指示に従ってください。
以下はその他のレポート・卒論・論文の書き方の教材です。
レポート・卒論・論文の各パートの書き方
- 序論(はじめに)の書き方のコツを教えます!
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