レポート・卒論・論文の文中での正しいコピペの仕方・引用の書き方

正しいコピペ(引用)の仕方 卒論・論文の書き方
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大学生の中には、レポートや卒論で調べた文献をどのように引用したらいいかわからない方が多いのでではないでしょうか。

コピペはだめだといわれるけど、自分の考えや感想は書くなと言われるし、どうしたらいいのだろうと途方に暮れている方もいるのではないでしょうか。

論文というのは主観を入れずに客観に徹して自分の解釈や意見は書かないというのが大学で書くレポートや卒論ということになります。

つまり、自分が立てた問い・課題に応えるために他人の論文や資料を証拠として出していくということです。

そのため他の人が書いた論文すなわち引用が一つもないような論文というのはそれは論文とはいえないのです。

だから他人の論文を引用するということは決して悪いことではなくてむしろ推奨されることなんです。

何が問題になりますのかといいますと他人の論文をまるで自分のもののように丸々写して書くことです。

では他人の論文の一部を「丸写し」することができないのかというと答えは「丸写し」してもOKです。

引用には引用の作法というのがありますので、それを守っていくなら、他人の論文を(引用)コピペすることはできます。

ここでは正しくコピペする方法を説明します。

なお、小論文とレポートの違いについては作文・小論文・レポート・卒論の違いを参考にしてください。

自己紹介

大学の教員で卒論指導を毎年行っています。国際誌・学会誌・大学紀要などに100本以上の論文を発表してきました。Language Learning, The Modern Language Journal, Systemなどの国際誌の査読者もやっています。

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引用が一つもない論文は論文ではない

序論で提起した「問い」について調査・研究するものが論文(卒論・レポートも含めて)です。

その問いの答えを文献・資料・データ などで確認していきます。

また,その際には主観を入れず、客観に徹して自分の解釈や意見は書かないというのが鉄則です。

ゆえに、他人の論文(引用)が一つも引用されていない論文は、論文ではないといえます。

つまり、自分の考え・自分の主張(作文・小論文)のみを記述している論文は学術的価値はほとんどないということです。

一方で、矛盾するようですが、他人の論文の一部をまるまる写すのは、剽窃(ひょうせつ)と言われます。

他人の論文を引用することは決して悪いことではなく、かえって奨励されることなのですが、その作法を知らずにやると剽窃になります。

つまり、正しいコピペ(引用)の仕方をしっかりと学ぶ必要があります。

間接引用・直接引用・引用文献・参考文献・参照文献の違い

引用について詳しくお話する前に、これらがごちゃごちゃになっていませんか?

詳しい説明に入る前に、簡単に用語を整理しておきます。

間接引用とは?

間接引用はこのように要約して引用するもの

Park (2008)は英語のデジタル教科書に関する調査を小学校の教員と児童に行い,デジタル教科 書は児童の英語のレベルや興味に合わせた内容を掲載できるため

直接引用とは?

直接引用はこのようにそのままを書いて引用しているもの

「かわいいアニメの動画が多く収録されており,児童が楽しみながら英語をインプットすることができ」(田中, 2013, p. 96)

引用文献・参考文献・参照文献とは?

引用文献・参考文献・参照文献は実際に論文で引用(間接引用・直接引用)した文献のことで、論文の最後にずらーとある文献のリストのことです。

米田佐紀子(2008)「英語劇を通して日本人児童 に英語力を定着させる試み―コミュニケーション 能 力からみた発音・語彙・文型の定着を目指して―」 『北陸学院短期大学紀要』40 , 65-84

 贄育子・三宅絢花(2014) 「母性看護学実習に対する女子学生の実習前のイメージ,実習中感じたこと,実習後の思い-テキストマイニングによる分析-」『ヒューマンケア研究学会誌』5, 21-28

ただ、引用文献・参考文献・参照文献に関しては分野によって、かなり呼び名が異なり、また、定義が異なります。

私の分野では、引用文献といいますが、分野によっては、参考文献・参照文献と呼んでいる分野もあります。

詳しくは自分の指導教官に聞きましょう。

通常は以下のように分けています。

  • 引用文献とは、レポート、論文中に実際に引用した文献のみのリスト
  • 参考文献・参照文献はその論文を作成するために参考とした文献で、参考にしたけど本文中では直接引用しなかったものも含む文献のリスト

引用文献の詳しい書き方は引用文献(ネット文献も含む)の書き方を参考にしてください。

レポート・卒論・論文の文中での引用の仕方

文中での引用には以下の2つの方法があります。

  • 直接引用:論文に書かれている文章をそのまま書き写して引用する。
  • 間接引用:論文に書かれている文章を要約して(自分の言葉で)引用する。

なお、ここからは分野によってかなり異なります。

レポート・卒論・論文の文中での直接引用の仕方

直接引用の仕方には短い場合と長い場合の2つのパターンがあります。

直接引用で引用する部分が短い場合

書き方は2つあります。

一つは以下のように、筆者の姓(出版した年)とページ数を離して書く方法です。

根岸(1990)は 「もし主たるinputの1つたる教科書のディスコースが現実のディスコースを反映しないものであれば, それに基づいて習得される’discourse competence’も非常に不自然なものとなることが考えられる」(p. 44)と主張しており, 

ここで要注意。

考えられる」(p. 44)のように「。」をつけないように。

正しい形は「。」をとった考えられる」(p. 44)です。

もう一つは「  」のすぐ後ろに以下のように(著者の姓, 出版した年,ページ数)をつける方法です。

「かわいいアニメの動画が多く収録されており,児童が楽しみながら英語をインプットすることができ」(田中, 2013, p. 96)

直接引用で引用する部分が長い場合

こちらの論文を参考にしてください。

元の文章を一つの固まりとして扱い、段落を変えて、少し引用部分の前後を1行ずつ空け、引用部分全体を2文字程度字下げすることで、本文と区別します

長い引用

複数のページにわたるものを引用したい場合はppを付けます。
  田中(2013, pp. 96-97)

レポート・卒論・論文の文中での間接引用の仕方

内容を要約して引用します。

なお、間接引用のときはページ数は書きません。

「 」も必要ありません。

大きくわけると以下の2つの書き方があります。

最初に筆者の姓(出版した年)を書く

1つは以下のように最初に筆者(出版した年)を書く書き方です。


Park (2008)は英語のデジタル教科書に関する調査を小学校の教員と児童に行い,デジタル教科 書は児童の英語のレベルや興味に合わせた内容を掲載できるため

稲垣(2010)が『英語ノート』のデジタル教材の電子黒板を用いた授業 と電子黒板機能を使用せずパソコンに接続して操作する授業を比較した結果

最後に(筆者の姓, 出版した年)を書く

もう一つは以下のように最後に(筆者の姓, 出版した年)を書く書き方です。

近年音読について多くの研究がされてきている(門田,2007;溝畑,2009;Nishida,2007;小寺,2005;鈴木,1998,2009)。

ここで注意すべき点は最後の「。」のつけ方です。「

)。」と)の次、つまり「。」は一番最後につけてください。

レポート・卒論・論文の文中での著者・年代の書き方

引用文献の姓や組織名と一致させる

最近学生の卒論をチェックしていて気が付いたのですが、文中の引用と最後の引用文献の表記が異なっていることが多いです。

文中の引用に本の名前や論文名を入れたり、名前全体を入れたりとぐちゃぐちゃです。

大原則として、文中には、その論文や記事を書いた人の苗字と年代を入れてください

新聞などでも書いた人の名前が記載されていますので、その名前(苗字のみ)を書きましょう。

著者が2人のとき

著者が2人のときは著者間の区切りは「・」で区切ります。
鈴木・田中(2013)

著者が3人以上のとき

3人以上の共著のときは,最初に出てきたときだけ全員の姓を記し,2度目からは筆頭著者他と書く。

最初に出てきたとき⇒鈴木・田中・佐藤(2013)
2回目以降⇒鈴木(2013)

著者名がないとき

著者名がないとき、たとえば、私は学習指導要領をよく引用しますが、そのようなときは文部科学省(2010)のようにそれを発行した機関を書きます。

年代の入れ方

年代の入れ方のルールは以下の2つです。

  • 同じ段落内にあるときは年代を省略していい。
  • 段落が変わった場合は、再び年代を入れる。

これは何を言っているかよくわからないと思いますので、例文で解説します。

小中学生両者に直接質問紙調査を行っている研究として宋・水野・侯・濤岡・加藤(2019)があげられる。宗他は札幌市の小・中学生に子どもたちの「学び」に関す る実態調査を行い,「外国語・英語が好き」という項目に対してどの学年も 50% 以上が当て はまると回答していたと報告している。
 宗他(2019)は・・・・・・・・

同じ段落内では 宗他 になっていますが、段落を変えた場合は 宗他(2019) になっています。

ちなみに、上記で解説したように、著者が3名以上なので、2回目からは筆頭著者他宗他 )となっています。

同じ著者の場合は(  )に年代順に年代を入れる

そ れ らの 多 くは Deci& Ryan (1985, 2000)

同じ著者で同じ年代がある場合はa・bで区別する

2000 年以 降動機づ け を高 め る こ と に主 眼 を お い た 研 究(田 中,2009a, 2009b , 2010) が 増えてきた。

何人かの著者がいる場合は、あいうえお順に並べ、セミコロン; で区切る

本研 究 で は 学生 の 動 機づ けを高めるうえで効 果 がある(大久保 ・渡 部,1991; 菊池 ・中山 ,2006 )

小・中学生両者に関連した研究(岡崎・西田,2013;カレイラ・齊藤, 2016;萬谷他,2013)は今までいくつか行われており

WEBの情報を引用する場合は組織名を著者名に書く

WEBの情報を引用する場合は、誰が書いたのか、どこの組織が書いたのかを必ず書きましょう

文部科学省(2019)のように、それが発表された組織名と発表された・書かれた・更新された年代を入れてください。

年代がわからなければn.d.(no date)を使います。 例:ハワイ観光局(n.d.)

ほとんどの場合、どこの組織が書いたのはわかると思いますので、これで対応できるとは思いますが、WEBの情報を引用文献としてを難しい場合、最終手段は脚注を使います。

ワードでしたら、参考資料⇒脚注の挿入をclickするとそのページの下に入力できるようになりますので、そこにWEBページの引用を入れましょう。

ネット上の情報を引用するときの注意点

最後に、ネット上の情報を引用するときの注意点をお話します。

ときどき何の悪気もなし、「引用元をしっかり書けばいいんでしょう」ということでネットで情報を検索して、そこから直接引用「  」で必要な情報をコピペして、それらをつなぎ合わせたレポートを書いてくる学生がいます

こういったレポートを読んでいると、全然アカデミックな香りがせず、ブログのようになっています。

挙句の果てに、「おすすめです」とか「行きたいです」などと完全にブログ化したレポートも時々あります。

このようなレポートは必ずといって、引用文献がすべてネット上の上位検索したところの情報を集めて書いたもので、論文などの引用文献が一つもないことが多いです。

論文を引用していないということは、論文をまったく読んでいないので、そもそも論文というものがどのようなものかまったくわからないので、ネット上の口調を真似して書いてくるので、ブログっぽいレポートになってしまうのでしょう。

本人には悪気はないのでしょうが、教員側からするとこういうレポートを読むと本当にやめてほしいと思います。

レポート・卒論に書籍・論文・新聞などを一つも引用しないで、WEB上の情報のみをつぎはぎして仕上げるのはやめましょう。

最低でもサイニーなどで必ず関連論文を調べましょう。

資料の調べ方は以下のリンクを参考にしてください。

動画もあります。

また、ネット上の情報をコピペして直接引用した場合(「 」でくくる)、WEB上ですと直接引用に必要なページ数は書けないわけです。

ですので、WEBページの直接引用(そのままコピペ)はなるべく避けたほうがいいでしょう。

どうしてもWEB上の情報を引用する必要がある場合は、直接引用でなく、間接引用(要約)しましょう。

ましてや、コピペして青々とリンクをつけたまま「僕はコピペしました」とわかるように、出してくる学生が時々いますが、これは本当に論外です。

くれぐれもWEBページのコピペのようなつぎはぎレポートはやめましょう。

コピペを調べるソフトもありますので、厳しい先生だと単位がもらえなくなります。

おわりに

最後に、もっと詳しく卒論の書き方や引用の仕方を学びたい方のためにいくつか本をご紹介します。

文系の卒論の書き方になりますが、わかりやすいさ、読みやすさではこちらの本が一番です。

次におすすめなのが、こちらです。

「パソコンの使いこなし方」や「ゼミでの学び方」なんてのもあり、至れり尽くせりです。

両者とも大学の先生が書かれた本です。

また、卒論が終わりましたら、大学のテキストは売りましょう。

捨ててしまうのはもったいないですし、環境にもよくありません。

ちょっとしたお小遣いも稼げます。

その場合、「ブックオフ」などの普通の古本屋ではすごく安くなりますので、ちゃんと教科書・テキストなどの専門のところを利用するといいです。

普通の古本屋とは大学の教科書専門なのでかなり高額で買い取ってくれます。

大学教科書・専門書・医学書 専門買取サイト「専門書アカデミー」

こちらは大学受験の教科書専門の古本屋です。大学受験の参考書がまだたくさんあるようでしたら、こちらを利用しましょう。

大学受験参考書・赤本 専門買取サイト「学参プラザ」

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